騒音と騒音計

3.騒音測定に関わる法令・条例 / 評価方法

 環境騒音の測定では、目的に応じて適用される法令や基準が異なります。

こちらでは、「環境基準(騒音)」と「騒音規制法」の特徴と、具体的な評価方法の一部を分かりやすく解説します。


3.1 環境基準(騒音)

3.2 騒音規制法

3.3 測定器は何が必要?

 

3.1 環境基準(騒音)

◆ 環境基準とは?

 

環境基準(騒音)は、人が健康で快適に生活するために “この程度の静けさが保たれていることが望ましい” と国が定めた目標値です。
この基準は、環境基本法第
16条第1項に基づき、環境省によって定められています。
「規制」ではなく、行政の環境対策・政策の指針(ガイドライン)です。


 
◆ 対象は?

主に次のような、生活環境に影響を及ぼす騒音が対象となります。

一般環境騒音
 工場や事業場、店舗、生活環境騒音など、特定の一つの発生源に限定されない周囲の騒音
・道路交通騒音
 自動車の通行によって発生する騒音
・航空機騒音、新幹線鉄道騒音
 航空機や新幹線鉄道の運行に伴って発生する騒音


これらの環境基準は、住居専用地域、商業地域、工業地域などの地域の特性(用途地域)に応じて異なる基準値が設定されています。

 

 

◆ どんな評価方法?

環境基準(騒音)における評価では、「騒音計」を用いて音の大きさを数値化し、基準値と比較することで行われます。
基準値は、対象となる騒音の種類、地域区分、測定時間帯(昼間・夜間)ごとに、達成すべき基準値が定められています。

 


騒音の評価や測定の技術的な取り扱いについては、
JIS Z 8731「環境騒音の表示・測定方法」に基づいて行われます。

 

また、環境省は、これらの測定結果を環境基準に基づいてどのように評価するかを示した「環境基準の評価マニュアル」を公表しており、行政における評価手順の指針となっています。


環境基準は、対象となる騒音の
発生源や地域の特性に応じて、複数設けられています。日常生活の中で発生する一般的な騒音や道路交通騒音を対象としたものに加え、航空機騒音や新幹線鉄道騒音のように広い範囲に影響を及ぼす交通騒音については、それぞれ個々の環境基準が設けられています。これらの環境基準は、地域の実情や騒音の特性を踏まえ、生活環境を保全するための目標として位置づけられています。


 

~ 具体的には、次のような環境基準があります ~
 

騒音に係る環境基準(一般地域および道路に面する地域)

住宅地・商業地・工業地などの日常環境における騒音の基準です。

「地域の種類(AAABC)」と「昼間・夜間」で望ましい騒音レベルが決められています。

 
 

②航空機騒音に係る環境基準(飛行場周辺地域)

 飛行機の離着陸などによる騒音に対して設定された環境基準です。
航空機騒音は「大きい音が断続的に発生する」特徴があるため、
一般の騒音とは異なる評価指標
 Lden(時間帯補正等価騒音レベル) が用いられます。

 

 

③新幹線鉄道騒音に係る環境基準(新幹線沿線地域)

 新幹線が通過するときに発生する騒音に対する環境基準です。
新幹線騒音には「高速通過時の大きな一時的騒音」という特徴があるため、
一般の騒音とは異なる評価指標が使われます。

 

 

★ 「環境基準の評価マニュアル」は、環境省の公式ウェブサイトにて公開されております。

 

詳しくは、こちらからご確認ください。

https://www.env.go.jp/air/noise/noise.html

 

3.2 騒音規制法

◆ 騒音規制法とは?


騒音規制法は、工場や事業場、建設作業、自動車などから発生する騒音によって、生活環境が損なわれることを防止するための「法律」です。
地域ごとに騒音の基準を定め、騒音を発生させる事業者に対して、適切な管理や改善を求めることを目的としています。騒音問題を、感覚ではなく数値による客観的な評価で扱う点が特徴です。



◆ 対象は?

騒音規制法では、主に次のような騒音が対象となります。

 
・工場騒音 -機械設備や生産活動によって発生する騒音-
 「特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準」(昭和43年11月27日厚生省・農林省・通商産業省・運輸省告示1号)
 
・建設作業騒音 -
杭打ち、掘削、解体など、特定の建設作業に伴う騒音-
 「特定建設作業に伴って発生する騒音の規制基準」(昭和43年11月27日厚生省・建設省 告示第1号)
 

・道路交通騒音 -
道路交通によって発生する騒音-
 「騒音規制法第17条第1項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める省令」(平成12年総務府令第15号)
 

これらの対象は、住居地域、商業地域、工業地域などの地域区分によって、適用される基準値が異なります。

 

◆ どんな評価方法?

 

騒音規制法における評価では、「騒音計」を用いて音の大きさを数値化し規制値と比較することで行われます。
規制対象や地域区分、測定時間帯(昼間・夜間)ごとに、守るべき規制値が定められています。

 

騒音測定は、計量法第71条の条件に合格した騒音計を用いて行うものとされております。
この場合、騒音計の周波数補正回路はA特性、動特性は速い動特性(FAST)を用います。
また、取引証明行為に該当する測定では、計量法に基づき検定を受けた特定計量器の騒音計を使用することが求められます。

 

騒音の評価や測定の技術的な取り扱いについては、JIS Z 8731 : 2019「環境騒音の表示・測定方法」を技術的な基準として行われます。
この規格では、測定位置や測定高さ、測定時間などの具体的な測定方法に加え、「定常騒音」「間欠騒音」「変動騒音」といった騒音の性質に応じた測定対象音の区分「時間率騒音レベル」「等価騒音レベル」などの評価指標が定められています。

 

法令に基づく測定では、JIS C 1509-1へ適合した信頼性のある騒音計を用いて測定することが必須です。


<評価指標>
定常騒音

   定常騒音

〇 定常騒音


時間の経過に対して騒音レベルの変動が小さく、ほぼ一定の大きさで続く騒音を指します。
音の大きさが安定しているため、一定時間の測定結果を用いて比較的シンプルに評価することができます。

(例)

・コンプレッサ、モータ、ファンなど稼働音
・一定条件で稼働している設備から発生する音 など

時間重み付け特性:S(遅い)で測定

評価値:騒音レベル LAS(安定している場合)
    等価騒音レベル LAeq(多少の変動が見られる場合)



間欠騒音

   間欠騒音

分離衝撃騒音

   分離衝撃騒音

〇 間欠騒音・周期騒音


音が出たり止んだりを繰り返す騒音を指します。また、周期騒音は、一定の周期で音が繰り返し発生する騒音です。
音が発生している時間と静かな時間が混在するため、騒音の発生パターンを考慮した評価が必要になります。

(例)
・コンプレッサの起動、停止音
・杭打機や鍛造器など定期的に動作する機械音 など

 
時間重み付け特性:F(速い)で測定
評価値:変動ごとの指示値の最大値 LAFmaxにおいて、
    以下のいずれかで評価する。
   ・平均値(最大値がおおむね一定の場合)
   ・90 %レンジ上端値L5(最大値が一定でない場合)

★ 間欠的・周期的に変動しその指示値の最大値が一定でない場合
間欠的または周期的に音は発生するものの、発生するたびに音の大きさ(最大値)が変わる騒音を指します。
例えば、作業内容によって音の大きさが変わる建設作業音や、不規則な運転状態の機械音などが該当します。
このような騒音では、単に最大値だけを見るのではなく、騒音のばらつきや発生頻度を考慮した評価が必要となります。


 

変動騒音

   変動騒音

〇 変動騒音(不規則かつ大幅に変動する騒音)

 
時間とともに騒音レベルが連続的に変化し、一定の大きさに安定しない騒音を指します。音の大きさが常に変動しているため、ある瞬間の値ではなく、一定時間の騒音全体を代表する指標を用いて評価することが一般的です。

(例)
・道路交通騒音
・人の往来が多い場所の環境騒音 など

時間重み付け特性:F(速い)で測定

評価値:等価騒音レベル LAeq(道路交通騒音)
    90 %レベル上端値 L5(特定工場、特定建設作業)


 <評価に使用される演算値>
時間率騒音レベル

   時間率騒音レベル

〇 時間率騒音レベル(Nパーセント時間率騒音レベル LN) 


測定時間中において、ある騒音レベルを超えていた時間の割合に着目した評価指標です。

(例)「L5」が60 ㏈であれば、全測定時間を100秒とすると、その5 %の時間(5秒間)は60 ㏈を超える騒音レベルであったことを意味します。

この指標は、騒音の大きさだけでなく、その音がどの程度の頻度で発生しているかを反映できるため、騒音レベルが一定にならず変化する「間欠騒音」や「変動騒音」の評価に適しています。

また、突発的に大きな音が発生しても、その音が測定時間全体の中でどの程度の割合を占めているかを把握できるため、単発の大きな音による評価への過剰な影響を抑えることができます。

L5:測定時間の%の時間で超えている騒音レベル
  (比較的大きな騒音を表す)
L
50:測定時間の50 %の時間で超えている騒音レベル
  (騒音の中央値)
L
95:測定時間の95 %の時間で超えている騒音レベル
  (背景騒音の目安)


このように、時間率騒音レベルは、実際の生活環境で感じる騒音の状況を正しく把握するために有効な評価指標とされています。




騒音レベルと等価騒音レベル

   騒音レベルと等価騒音レベル

エネルギー平均 計算式

   エネルギー平均 計算式

〇 等価騒音レベル(A特性時間平均サウンドレベル)


ある一定時間内に変動する騒音レベルのエネルギーを、同じ時間内の定常騒音のエネルギーに置き換えて表した評価指標です。

一般的に「LAeq」で表され、時間とともに変化する騒音を「1つの代表値」として評価できます。
例えば、大きな音と小さな音が混在する場合でも、それらを含めた平均的な騒音レベルとして示すことが可能です。

この指標は、騒音の大きさと実測時間の両方を考慮して算出されるため、道路交通騒音や周辺環境騒音など、時間とともに騒音レベルが変動する音の評価に広く用いられています。


騒音規制法や環境基準に基づく評価でも、重要な指標の一つです。



★ 詳しくは、環境省の公式ウェブサイトをご確認ください。
・騒音規制法の概要
https://www.env.go.jp/air/noise/low-gaiyo.html



3.3 測定器は何が必要?

最新JIS規格に適合した騒音計

 JIS C 1509-1:2017JIS C 1516:2020

環境騒音測定の測定方法を規定した、JIS Z 8731:2019に基づく測定が可能な騒音計
計量法第71条の条件に合格した騒音計(検定に合格した騒音計)

 

リオンの騒音計はこれらの条件に対応しています。
騒音測定に、是非ご活用ください。


 
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