騒音と騒音計

1.音についての基礎知識

 音の大きさの表現や人間の耳の感度など、音の測定のために必要な基礎知識について解説します。


1.1 音とは?

1.2 音の大きさと日常生活

1.3 音の高さ ~周波数とは?~

1.4 周波数と人間の耳の感度

1.1 音とは?

音とは、空気や個体などの媒質中で圧力が変化し、その変化が広がっていく現象です。私たちが「音」と呼ぶものは、主に空気の振動によって生じます。あらゆる物体は擦ったり、叩いたりすることで振動し、音源となります。この音源の振動が空気に伝わり、その振動が耳に届いたとき、音として聞くことができます。



    

1.2 音の大きさと日常生活

音圧と音圧レベル

音圧と音圧レベル

 [音圧(単位:Pa パスカル)]

音とは、空気の中で起こるごくわずかな圧力の変化のことで、この変化の大きさを物理的には「音圧」と呼び、パスカル(Pa)という単位で表されます。
人間の耳で感じ取れる「音圧(Pa)」の範囲は非常に広く、人がかろうじて聞こえる小さな音(20 μPa)から、大きな音(200 Pa)まで、その差は1000万倍にも及びます。



[音圧レベル(単位:㏈ デシベル)]

音の大きさを「音圧(Pa)」のままで扱うと桁数が膨大になり分かりづらいこと、また人間の感覚が対数(ログ/log)尺度と相性が良いことから、通常音の大きさは「デシベル(㏈)」という単位で表します。これを「音圧レベル」と呼び、下記の計算式で表されます。




人がかろうじて聞こえる最も小さな音(最小可聴値)を基準(0 ㏈=20 μPa)とし、日常生活音から非常に大きな音の範囲を、およそ0 ㏈~140 ㏈の範囲で分かりやすく表すことができます。

1.3 音の高さ ~周波数とは?~

周波数

周波数

 周波数(単位:Hz)とは、「1秒間に繰り返される音圧変化の回数」を表したもので、音圧の変化がどれだけの速さで繰り返されているかを数値で示します。


例)

1 Hzは、「1秒間に1回の音圧変化が起きている音」を意味します。

2 Hzは、「1秒間に2回の音圧変化が起きている音」を意味します。 


音圧変化の回数が

多いほど、音は「高く」聞こえます。  → 周波数が高い

少ないほど、音は「低く」聞こえます。 → 周波数が低い

1.4 周波数と人間の耳の感度

純音に対する等ラウドネス曲線(ISO 226:2003)

純音に対する等ラウドネス曲線(ISO 226:2003)

人間の耳の感度は、周波数によって大きく異なります。

同じ音圧レベル(㏈)の音でも、低い音や高い音は小さく感じられ、4 kHz付近の音は大きく感じられるという特性があります。  

この「人が感じる音の大きさ」を表す指標が、音の大きさのレベル「phon」です。ある音が、1 kHzの音圧レベルの音と同じ大きさに感じられる場合、その音はP phonであると定義されます。  

右図に示す「等ラウドネス曲線」は、周波数ごとに「同じ大きさに聞こえる音のレベル」を結んだもので、人間の聴覚特性を表しています。 この図から分かるように、音の物理的な量と人が実際に感じる音の大きさは一致しないため、「周波数」を考慮しなければ音は正しく評価することができません。




騒音計の周波数特性

騒音計の周波数特性

[周波数重み付け特性とは?]

 

人の耳は周波数によって聞こえ方(感度)が異なります。

そのため騒音計では、人の聴覚特性を考慮した聴感補正回路(周波数重み付け特性)という補正をかけて測定します。

 

■ A特性
人の聴覚を近似した特性(環境騒音の評価、規制・基準への適合評価などに使用)

■ C特性
低周波数成分も含め、平坦に近い特性(音圧レベルの評価や、大音圧の測定などに使用)

■ Z特性
10 Hz~20 kHzの周波数範囲で平坦な特性(音圧レベルの評価や周波数分析や音響試験など、物理的な音の評価に使用)



騒音計の時間重み付け特性概念図

騒音計の時間重み付け特性概念図

[時間重み付け特性とは?]

 

人の耳は音が発生してから感じるまでの応答時間があります。
時間重み付け特性(FAST/SLOW)は、騒音計で音が発生したときの応答性を補正するものです。

 FAST(速い)
人間の耳の動特性に近似(応答時定数:0.125秒)/幅広い測定で使用される

 SLOW(遅い)
人間が読み取りやすいようにゆっくりと変動(応答時定数:1秒)/航空機騒音、新幹線騒音等で使用される



[人間が聞き取る音の周波数帯]

音は周波数帯域によって分類され、人間が聞き取れる音もあれば、聞き取れなくても環境に影響を与える音もあります。
周波数帯域により性質や感じ方が大きく異なるため、適切な測定器を使い分けることが重要です。

 
 可聴音(20Hz~20kHz)

人間が音として聞き取ることのできる周波数帯で、会話、音楽、機械音など、日常生活のほとんどの音が含まれます。
環境騒音や作業環境の評価など、法令や基準への適合確認の対象となります。
可聴音の評価には、人の聴覚特性を考慮した周波数補正を備えた騒音計が用いられます。  


 超低周波音(1Hz~20Hz)
人の耳にはほとんど聞こえませんが、身体で「圧迫感」や「揺れ」として感じられることがある音です。
大型設備、風、交通インフラなどが主な発生源となり、不快感や体調への影響が問題になる場合があります。
低周波数まで測定可能な騒音計を用いて評価します。  

 超音波(20kHz以上)
人の耳には聞こえない音ですが、洗浄機や超音波加湿器、検査装置など産業用途で広く利用されています。
評価には、超音波領域に対応した専用のマイクロホンや測定器が必要となります。

  

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